|森の贈り物|表紙へもどる|頁作成「NOKO」:2015-7-17|
これらのアゲハ蝶は、みな黒っぽい大きな翅に、大きさは違っても、オレンジ色から赤色の斑点(はんてん)が付いているので、似ているといえば似ています。 ●カラスアゲハは、クロアゲハに似ているけれど、黒い翅が青っぽく光って見えます。 ●モンキアゲハは、黄白色の大きな斑点が後ろの翅(後翅)にあるので、紋付を着ているようです。 ●ナガサキアゲハは、もともと南国の蝶で、関東で見られるようになってから、まだ10年ほどの新参者です。 尾状突起が無いので、区別できます。温暖化の影響で生息域が広がって居ると、言われています。 ●ジャコウアゲハは、尾状突起が長めで、胸から腹にかけて、オレンジ色から赤色の模様が入るので、区別がつけやすい蝶です。 雌の翅は、薄い茶色をしています。 |
クロアゲハ、カラスアゲハ、モンキアゲハ、ナガサキアゲハの食草は、夫々の好みは少しずつ違っていても、すべてミカン科の植物です。 それに比べると、ジャコウアゲハは少し変わっていて、オオバウマノスズクサ、ウマノスズクサなど、ウマノスズクサ科の植物です。金沢区内には、オオバウマノスズクサがたくさんあるので、ジャコウアゲハを良く見かけます。 オオバウマノスズクサは、木本(※注1参照)のつる植物で、大きなスペード型の肉厚の葉をつけます。果実の形が、馬の首につける鈴に似て居るので、この名前がつきました。花の形も、楽器に似た面白い形をしています。 下の4枚目の画像は、ウマノスズクサ科のウマノスズクサという、つる性の草本(※注2参照)の花です。 (※注1)木本;木部が発達した、多年生の地上茎をもつ植物。 (※注2)草本;木本に対する語。木本は茎の上部が発達し多年生になっているのに対し、草本では木部はあまり発達せず、茎が軟らかく1年以内に枯れる。但し地下茎は枯死せず何年も生残るものがあり、これを多年生草本という。 |
![]() オオバウマノスズクサの花 |
![]() 未熟な果実 |
![]() 熟した果実 |
![]() ウマノスズクサの花 |
ウマノスズクサ科の植物は、アリストロキア酸というアルカロイドを持っています。 アリストロキアというのはウマノスズクサ科の学名 Aristolochia から来ていますが、強い毒性のある物質です。 ジャコウアゲハの幼虫は、この毒に耐性があるらしく平気ですが、ジャコウアゲハの幼虫を食べた鳥は中毒します。 だから、ジャコウアゲハの幼虫は、他の蝶の幼虫のように保護色をしたりしません。 かえって、「私は毒だから食べてはいけません」と、知らせるかのように派手な色をしています。 蝶の仲間には、このようにわざと有毒植物を食べ、体内に毒を貯えて鳥に捕食されるのを防いているものがあります。 カバマダラやアサギマダラなどが有名です。これらの幼虫は、みな目立つ色や形をしています。 |
ジャコウアゲハは、オオバウマノスズクサの葉裏に卵を産みます。 茶色っぽかった幼虫は、やがて黒と白の体になります。驚いた時に出す臭角は、黄色です。 蛹(さなぎ)は薄い茶色をしていますが、羽化が近づくにつれ、中の翅の色が透けて見えてきて黒っぽくなります。 飛んでいる時、翅が黒だけのはオスで、薄茶色みたいのがメスです。 |
![]() 葉裏の卵 |
![]() 幼虫 |
![]() 終齢幼虫 |
![]() 臭角 |
![]() 蛹 |
![]() 羽化直前の蛹 |
![]() 羽化した雌(♀) |
![]() 羽化した雄(♂) |