年間、季節ごとに移り変わる仕事内容

わたしたちは時間に区切りを付けて普段生活していますので、1月や4月に様々なことが新たに始まりますが山に始まりや終わりという節目はありません

我々の作業は自然のサイクルのように連続しているので、一年のうちどうしてもここから説明しなくてはならないという原点がありません。以下に年間の作業内容を秋から紹介していますが、そうしなければならない理由はありません(一番楽しくて充実できる時期から紹介しようという人間の都合ならあります)。 また、一応、四季ごとに分けて記述していますが、筆者の感覚では温暖な時期と寒冷な時期という登山者のような分け方で山の作業を眺めるのがよいでしょう

更に付け加えますと、1年という短い周期では、すべてのことを捕らえられないのが山の仕事です
山には様々な動植物が生きています。1年毎、数年毎、十数年毎、数十年毎、百年毎・・・というように、それぞれの種が、それぞれの場所で、それぞれの周期で移ろうのですから、それに合わせてわたしたちも、様々な周期でいろいろな仕事を計画しなければなりません

ドングリを拾い、草を刈っておいた苗畑に播きます、春の芽吹きを待ちます

紅葉が始まり、樹木が眠りに入ろうとするころ、炭焼きやシイタケほだ木の材料となるクヌギ・コナラの伐採が始まります。理想としては葉を散らす前に伐り、そのまま寝かして乾燥させます。ほだ木の場合は一ヶ月後ぐらいに90cmぐらいに切り、さらに干した後、植菌します。炭材の場合は、窯の大きさに合わせて切り、太い枝や幹は斧で割って乾燥させておきます。

杉・檜(ひのき)が根から水分を吸い上げて葉から水分を蒸散させるのを止め休眠に入ると、間伐を始めます。産出した材木はなるべく活かしたいため、樹木に水分が少なく、虫をはじめとした分解者の活動が止んでいるこの時期に伐るわけです。切り倒した木はまず枝を払い、後の利用を考えながら適当な大きさに切り分け、必要なら皮を剥いて虫食いを防ぎ、林内に積み上げて乾かしておきます

わたしたちの活動域には竹林も含まれます。最近では、国産の竹の子や竹製品は中国などからの安い輸入物に圧されているし、竹を農資材として使うことも見直されてはきていますがまだまだです
その結果、竹林は踏み入ることができないくらいに荒れています。竹切りも水分の吸い上げが止まるこの時期に行います
伐った竹は枝を払い、用途に応じて適当な長さに切り分けます。竹も炭の材料になります、窯の大きさに合わせて切り、四つ割程度にして節をかき落とし乾燥させておきます
杉・檜・竹の間伐や、炭材としてのクヌギ・コナラ等の伐採は樹木が休眠から覚めるまでの間に行います
1月に入ると、それまでに用意しておいた炭材を窯に詰めて炭焼きを行います
3月までの間に数回炭を焼きますが、炭材詰めの日や火を入れる日は、毎回焚き火を囲んで大勢で飲食を共にします
ドングリを播いておいた畑から、幼木を山に移植する作業ができる時期です。会としてはコナラ・クヌギを育てていますが、会員の中には自宅でコナラ・クヌギを始め、クリ・カシ類など様々な樹種の堅果をポット苗として育てており、萌芽更新(切り株から芽を出すこと)や、天然更新(落ちた種子から木が育つこと)が難しい場所や、荒廃した杉林を伐採していった後に、移植できるようにしています

雑木林や人工林の林床に生える下草で土壌の流亡や飛散を防いでもらうために、林床を暗くしてしまう常緑広葉樹の除伐や、アズマネザサを刈る作業が主となってきます
この作業も四季を通じて行っていますが、晩秋・冬・早春は間伐や炭材切りや炭焼きに忙しいので、晩春から秋にかけて主に行います
立木の伐採時期は過ぎていますが、暴風・豪雨や年によっては雪による倒木や欠頂木(幹が折れた木)などは、冬に限らず整理しなくてはなりません。できれば暑くなる前、林床の草丈が高くならない春までにしておきたいものです
アオキ・シロダモなどの常緑広葉樹の除伐や、アズマネザサを刈る作業や、必要に応じて蔓切りや林床の倒木整理が主な作業内容になります。また、ハイキング道沿いや金沢自然公園内の『ドングリ広場』や、苗畑の草刈りをします
暑さで夏場の活動は大変ですが、林床が整理されてくると適度に明るくなり風通しがよくなったのを実感でき、休息時や昼食時などおしゃべりをしながら、爽やかに過ごすことができます

晩春〜夏〜初秋にかけての作業によって、冬の間伐などの作業がやりやすくなります

冬に間伐する予定の場所で主に作業します

原稿提供者 Gaku


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