よみがえる、金沢区の森の生き物たち

活動を始める前の場所は、枯れたり、台風で倒れたり、折れた木があちらこちにあり、そ こにツル植物が繁茂していました。 地面近くにはアズマネザサという笹が密生し、ア オキ・シロダモなどの常緑樹がいたる所に生えていて立ち入ることも難しいありさま でした。まずネザサやアオキなどの整理をし、倒木をかたづけ、ツルを切り、少しずつ森が 明るくなってきました。 すると、少しずつ森の生き物の様子が変わってきました。

鳥たちの様子
最初の頃は上空を飛ぶ鳥の姿が見られるだけだったのが、エナガ・シジュウカラ・メ ジロなどの小鳥たちが生活の場として使い始めました。 小鳥たちにとって、あまりにも 密生し藪化した場所は、自由に飛び回れないために、苦手な場所だったようです。 時々ですが、猛禽類が羽を休めることもあるようになってきました。
植物の様子
新しく開けた場所に、風によって種子が飛んでくる。ベニバナボロギク、ムラサキニガナ などが真っ先に増えてきました。これらは、新しく開墾した場所にまず入り込んでくる 外来種です。彼らには少し遠慮してもらい、下草刈りを続けたら、タチツボスミレが咲くよう になり、春に花を咲かすフデリンドウも、少しずつ増えてきています。驚いたことには、金沢区内では珍しい部類の、ミヤマシキミ、フタリシズカなども、どんどん生えてきま した。
最近各地で居場所を失いつつあるシダ植物も、スギ林にはまだ残っていましたが、 暗かった頃は限られた種類だけでした。 それが、林の足下が明るくなったことにより、種類が増えてきています。
植物は、環境が合わなくなると、花を咲かすどころか、葉を出すことも難しくなりま す。それでも土の中でじっと耐えて、何年あるいは何十年かして、環境が自分の好む状 態に変わると、早速芽を出し花を咲かすようになります。そんな生命力を、ひしひしと 実感できることも、活動の楽しさです。
ノウサギの様子
ノウサギは夜行性なので、滅多に姿は見られないのですが、糞が残されることで生息し ていることが分かります。もともとノウサギの糞は、草地で見かけることが多いのです が、管理作業を続ける内に、急な斜面のあちこちに、糞が残されているのに気がつくよう になりました。
私たちの管理方法は、全部のエリアの下草を刈り取らないで、所々にヤブを残すように しています。
ノウサギのような弱い(補食されやすい)生き物たちに、逃げ込む場所を 残しておきたいからです。
昆虫の様子
明かるくなった林床に、いろんな木が芽生えてきます。
やわらかい葉に蝶類の幼虫が増え てきました。大きくなって高くなった木では、幼虫たちは鳥に見つかりやすい、堅い葉は幼虫の口では食べられない等で、蝶たちは、こういう草陰に隠れるほどのやわらかい木に、卵を産むそ うです。
日本の国蝶である、オオムラサキが減ってしまった原因も、森の手入れがされなく なったためと、言われています。食草であるエノキは、どこにでも沢山あるのですが、木 が年をとり堅くなってしまい、オオムラサキには向かなくなったそうです。私たちが活 動を続けていったら、いつの日にかオオムラサキが舞うようになるかもしれません。コナラの林の上を舞う、ゼフィルス(ミドリシジミの仲間)たちも姿を現すことでしょ う。

原稿提供者 NOKO


|ブラウザの閉じるボタン『X』で、画面を閉じてください|2007-11-11 更新

NPO法人 かなざわ森沢山の会 よみがえる金沢区の森の生き物たち